Halfway

鶴田浩之のはてなブログ / halfwayとは「みちなかば」という意味です。いつだって道半ば。

12年続けたブログが人生に与えた影響について

僕が2011年からやっているLabitという会社で、TGIF(Thank God, It's Friday : お酒交えながら毎回題材決めて話す、飲み会未満のカジュアルな会) を隔週金曜日の17:00から90分くらいやっているのだけど、昨日ちょうど「みんなブログ書いたらどう?」と提案した。

 

Labitでは今、ブクマという本に特化したフリマアプリを運営している。週2万冊以上が出品される、本好き用のCtoCフリマアプリ。

http://ブクマ.com

 

後半に詳しく書くけど、僕はブログがきっかけで、エンジニア・スタートアップ・VC界隈のミートアップに誘われるようになり、まず初めにネットエイジの西川さんが大きなハブとなってくれて、今のLabitにエンジェル投資してくれたDeNA共同創業者の川田さん、AnyPayの木村さん、そして高校の時からファンだった、はてなの近藤さんとも会えた。(今ではときどき温泉にも行く仲だ)

ほかにも経営者と同時にブロガーでもあった、けんすうさん、現在ドットインストールをやっている田口さん、家入さんなどと知り合うことにもなった。全部ブログがきっかけで、2011年(当時20歳)に起きた出来事だ。

 

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昨日のエピソードを通じて、12年続けたブログが人生に与えた影響を、振り返ってみる機会になったので、まとめてみたい。

 

1.ブログは自分の思考整理に最適だった

世の中は騒音だらけだ。iPhoneには1日を通して沢山プッシュ通知が来るし、スキマ時間はニュースアプリを開いて、そのニュースの反応を読んだりしていると、少しずつ脳は疲労が溜まっていくわけ。ブログにかかわらず、文章を書く作業の中で、自分の考え方や思考が整理されていく。書くという作業を通して、自分の考え方を整理したり、見直す機会になるというのは賛同してくれる人も多いのではなかと思う。

 

2.身の回りを見るときの、自分の視座が変わる

ブログを続けていく中で、世界を見る目が変わっていくことに気づくときがある。電車の吊り革広告も、人づてに聞いた感心する話も、本の読み方も少し変わる。雑に言ってしまえばネタ探しのための好奇心。少し丁寧に言えば「ノイズだらけになった世界で、自分の想像力を掻き立て、本当に必要なものを見極めるセンス」

ブログにハマりすぎると更新の義務感などから、無理やりそのネタ探し思考になってしまう。これは長期的には良くなくて、仕事や思考が妨害されてしまう。別に2ヶ月に1回の更新でもいいと割り切って、書ける場所があると知った上で自分の習慣に取り込んでいると、ふと気づく瞬間がきっとある。そのとき世界を見る目が変わっていることに気づく。

あくまで自然体で、ときどきでいいから、習慣に染み込ませていく。

 

3.アウトプットするときにアイデアが生まれる

僕はフロー状態を自分でつくる事ができて、それは文章を書いているときとプログラミングに夢中になっているとき、そしてリラックスした環境で本を読んでいるときだ。人から話しかけられても聴こえないし、紙や画面に映る文字が浮かんできて、メタ的な世界の中で作業しているようにも感じる。

つねづね言っているのだけど、大半の良いアイデアは、作りながら生まれる。これは企画するときの僕のモットーのようなものであり、信じている価値観だ。何かを作るというのはクリエイティブな作業で、特別で大変なように思えるかもしれないけど、誰もが出来るいちばん手軽なことが、文章を読むこと、そして書くことである。読むという作業も、自分の脳の中にニューロンを走らせ、記憶を刻み、思考をつくる作業であるから、僕はいろんなジャンルの本を乱読している。

文章を書いていると、あれ、勝手に筆が走る(という言い方は現代には古いかもしれない)感じに巡り合うことがある。理論的に考えて文章を書くのではなくて、無心になっているとスッと言葉が紡ぎ出されている感覚だ。この作業の中で、本当に大事なアイデアに巡り合う事が多い。

 

4.自分以外に読者が1人でも居るという、普通ではない素晴らしさに気づく

スタートアップで事業をやっていると、提供するサービスのユーザーが100万、200万人単位、時には1000万人と増えていく。こんな中で「1人」と向き合う姿勢の大切さを、いかに口で伝えたり、紙に書いたり、行動規範として定めていても、腹落ちするのが難しい。画面に写る100万という数字の前では、頭でわかっていても、心で分かりづらいことなのだ。ブログは孤独なプロセスだと思う。読者を意識しすぎて破綻する人も多いだろう。まずは自分が最初の読者だと思って書くのだけど、その文章を、見ず知らずの誰か1人でも読んでくれているという素晴らしさに、心が気づくときがある。言い換えれば、想像力を養うということになる。この個人の原体験を伴っていると、チームで大きなサービスの事業を推進する上での、右脳的な判断に役に立つことがあると思う。結果としてそうなればいいという話である。

 

 他にもあるんだろうけど、冗長になってしまうので最初に思いついた4つだけ挙げてみた。

 

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最近、はてなブログも併せて始めたばかりだけど、元々はかねてから「もっちブログ」という名前でブログを書いている。前身のドメインが mocchi.cc (今は潰した) で始めたのが2005年だから、今年で12年目になる。干支が一周して月日の流れの早さに驚く。不定期で更新頻度は少ないものの、12年間、ブログに時々アウトプットすることを意識してずっと生きてきたことになる。

 

14歳から25歳にかけての12年間というのは、感受性の高い時期にやっていたと言えると思う。もちろん最初はくだらない中学生の下ネタ満載ブログだったけど、高校に入ると自分が作ったWEBサービスのことや、慶應大学の受験日記といったことをアウトプットしていた。 

そして18歳で長崎から上京して大学に入ると、ブログに書く内容は、自分の内省的なエッセイ、考え方やオピニオン、書評、バックパッカーのインド一人旅の紀行文といったものに多様化していって、最後には自身の活動内容を中心軸に、どういう経緯でWebサービスやアプリを作っていったかというエピソード・設計思想の話などを書くことになった。東京で新しく出会った新しい友だちにも読まれてもらえることになった。その中で、あるときに書いた記事以来、日本のベンチャー業界・投資家界隈の方からたくさん読まれる様になった事が印象深い。

 2016年夏は、渋谷に BOOK LAB TOKYO というコーヒースタンド併設の新刊書店をプロデュースしたのだけど、このとき出会った翔泳社の取締役の女性の方が、なんと高校時代から僕のブログ読者だった、という事実も聞いて驚いたのも記憶に新しい。

bijodoku.com

 

 

たったひとつの記事で、僕は人生が大きく変わった。

たったひとつの記事で、起業家としての自分の生き方が鮮明になり、6年続けていた。

たったひとつの記事で、大企業のスポンサーが長年付いてくれた。

たったひとつの記事で、僕は自分の中にずっと眠っていたアイデアに気づいた。

 

これまでに4000記事を書いてきた(3分の2は雑記だったので思い切って途中で削除している)中で、数回の奇跡を目の当たりにしている。少し大げさかもしれないけど、たとえば1年続けると、日常が少し変わるくらいの変化はあるのだと思う。

きちんと補足しておくと、ただブログを書いていただけはない。自分の確固たる意志のもと行動を起こしていったことに合わせて、ブログを書いた本を10冊読むと、ブログを1記事書くといった具合に、インプットが8割とアウトプットが2割のように自然となっていった。

 

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余談:この記事を書いた経緯

 Labitでは以前やっていたプロジェクトを事業分社化させた形で立ち上げたを子会社を、2015年12月にGunosyM&Aしたとき、一度メンバーが30人規模 → 3人に減ったのだけれど、この1年間でまた社員が12名・アルバイト20名くらいの所帯になった。今の主要メンバーは入って間もなく半年になるので、ブログでも書いてアウトプットしてはどうだろう?と軽い気持ちで提案した。採用を見据えたオウンドメディア的なものではなく、あくまで個人のブログという提案だ。

会社といってもスタートアップの小さな組織だし、年代も10代の学生アルバイトから子育てしながらのデザイナー、50代のキャリアエンジニアまで多様性が生まれてきたので、まず僕が読みたいというのもある。だけど、ブログを書くということに僕は人生で大きなメリットを享受してきたわけなので、純粋に勧めてみた。

 僕が TGIF でLabitのメンバーに「ブログ書くといいよ」と言ったものの、あまりピンと来ては居なかった様子だった。多分、ブログで生計を立てる!とか、PVや収益報告している人があまりにも増えすぎてしまって、「ブログ」に対する印象が良くないんだと思う。

そんなものは置いといて、誰ともコミュニティを作らなくて良くて、ただ自分の書きたいことを書けばいいと思う。書きたいことがないという声があるけど、「それを考えている作業」こそがブログをやる面白さでもあったりする。つまり、考えたことがない人は、書きたいことなんて無いな、とどうしてもなってしまう。僕は「何を書きたいだろうか」といつも自問自答しているから、最高の書きたいことの気持ちがピークになったときにだけ、ブログを更新している。

 この記事だって、僕は不特定多数ではなく、あくまで今の10名ほどの社員に向けて書く手紙のような気持ちで書いている。

 

ブログが人生を変えるとは言いたくない。なんかブロガー養成の胡散臭い人みたいで嫌だから。ただ、だれとも馴れ合わず孤独にブログを続けていても、それは自分のためになることもあるという話である。僕みたいな人生が大きく変わるようなケースだってあって、振り返ってメリットばかり感じている。

不定期でも、これから続けるだろうし、自分の脳が好奇心を求めている以上、素敵な文章をネットでも紙の本でも読んでいきたい。

 

ついでに今Kindleで読んでいる本を紹介。池上彰さんと竹内政明さんの「書く力」。

文章のブリッジのかけ方とか事例をもとに具体的なテクニックも交えてもらいながら、目からウロコな文章の生み出し方に、Kindleでかなりマーカーを引いているところ。僕の中で、2017年1月の Best of 新書 です。物書きの人には必読の1冊。

書く力 私たちはこうして文章を磨いた (朝日新書)

書く力 私たちはこうして文章を磨いた (朝日新書)

 

 

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